ビーチロックに学ぶ新たな地盤固化・自己修復技術

ビーチロックとは,海浜の砂礫が石灰質の物質によって自然に固化した岩のことです(下図)。砂礫が堆積してから岩になるまでには数十万年以上の長い年月が必要ですが,国内のビーチロックの中には数十年で岩になった例があります。ということは,もしビーチロックを加速固化させる技術を新たに開発することに成功すれば,海岸の侵食防止,海岸コンクリートの構造物の劣化抑制・長寿命化,岩盤・コンクリート構造物の亀裂の自己修復などの技術への応用が期待されます。
ビーチロックが固化する主な要因は,海水の蒸発による析出塩であると考えられています。しかし,私たちは海浜の砂礫が岩になることを,現地の微生物が促進していると考えています。ビーチロックの主なセメント物質である炭酸カルシウムは,堆積岩の主なセメント物質であり,環境に優しい物質です。私たちは,ビーチロックが固化するメカニズムを学ぶと同時に,沖縄県のビーチロック周辺から炭酸カルシウムの析出に適した微生物を発見し,その微生物を用いて土を短期間で岩やコンクリートのように固化させる技術を開発しました。さらに,沖縄県の海岸にあるサンゴ砂にもこの技術を適用し,その有効性を確認しています。

ビーチロック(沖縄県名護市)

ビーチロック(沖縄県名護市)